太陽の子

 
 
ひとしきり海で楽しんで、気付けば犬の散歩に歩く人が増えていたり、太陽の威力が増してきたこともあり、海水浴場からは撤収することにした。


そうして、井ノ上くんと私は、学校の図書室に落ち着くことにする。今日も今日とて授業はあるのだ。短縮だけどね。


いつも早く登校するけど、今日は一段と早い。野球部の朝練よりなんて、きっと今日、この日しか体験しない。


図書室は開いていなくて、先生から鍵を借りて入室する。エアコンを運転させると、最初は勢いのある風が吹き出す。しばらくして風量も弱まると、気持ちがいいのか、隣に座る井ノ上くんは眠たそうだった。


「風邪ひかないでね」


「オレ、バカだから~」


話す口調も仕草同様うつらうつらしている。


「今日は、ありがとう」


「んん~? なにが~?」


「私のしたかったことに付き合ってくれて。確かに朝早くなら大丈夫だけど、ひとりじゃやろうとも思わなかった。色々用意としてくれてありがとう。足ね、洗ったほうが確かに良かったの。他にもたくさん」


「いっつもさぁ」


「うん」


「オレ、美緒先輩に涼しいの分けてもらってるでしょ」


「分けてって……」


「そうなの」


「うん」


「美緒先輩に与えてもらうばっかじゃなく、オレも、逆のことしたかったんだ~」


隣で、もう船を漕いでしまいそう。