いつもと何も変わらなかった

    いつものように ラウンジで 

    チェックインする お客さんたちに 

    ウエルカムドリンクを出していた

    いつもと違うのは心なしか今年は 

    いつもよりも 大学生が 多い?・・・・と思っていると

    その人ごみの中 ひときわ背の高い人が・・・・・・・・

    後ろ姿 肩越しに見える横顔 
    すらりと伸びた鼻先 信君・・・・・・・

    息が止まるかと思うほど 驚いた

   そっと 視線を戻すと 女の子とチェックインしたあと

    客室に続く通路でなく ラウンジに歩いてくる

   まさか・・・・と思いながらも  信に 気が付かれない様に 

   さりげなく カウンターの中に入り 洗い物を始めた。

   下を向いて洗い物をしながら 信を盗み見る


   私は 何も変わらないのに・・・・・・ 

   信君は高校の時よりも 大人びて見える

   あの時も もてていたけど 今は きっともっと もてているね

   だって モデルみたい

   彼女と 2人で? と思ったけど 
   グループで来ていたみたいだった



   綺麗な女の子が 一生懸命 話しかけている横顔が見える

   信君 いったい どんな顔して 聞いているの

   カウンターに背を向けて座る 信君の表情は見えない
   




   樹 「おい 信 あれ つぐみ じゃね?」
      樹が半信半疑に耳打ちした。

     樹のさす方を見ると 少し大人びた つぐみ がいた。

   信  「・・・・・・・・・・・・・」

   樹   「ちがうか? そうだよな」

   信    「・・・・・ああ・・・・」

   樹   「それだけかよ  さすがクールだよ 
        つぐみ 大人っぽくなったよな

        昔も人気あったけど 今も健在だな。

        見てみろよ ラウンジの男たち」

    確かに 俺たちぐらいの奴らが 
    つぐみの事を見てひそひそ話している。

   信    「・・・・・・・・」

   すず  「何 ひそひそ 話しているの?」

   樹   「あ ちょっと 知り合い見つけたから 
         ちょっと挨拶してくる」

      樹が 立ち上がると ツグミのほうに向かっていく
      つぐみと話しているのを不思議そうに見ていた悠人 

    「樹 何時の間に あんなにかわいい子と 
     知り合いになったんだ? 
     後で俺も紹介してもらおう」

   そんな 悠人にむっとしながら つぐみの方を見ると 目が合った

   こんなときは どんな風に挨拶すればいいのか 戸惑っていると 

   まるで 知らない人を見るかのように 視線を移され 
  
   悠人を見つめるつぐみがいた。      


    なんだよ あいつ 
     
     俺が どれだけ心配したと 
   
     思ってるんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・。