廊下に出ると


   つぐみの姿は 見えなかった


   トイレか?・・・・・


   喫煙コーナーに行き 

   壁に寄りかかり 

   タバコに火をつけた


   何時から  歯車が 


   かみ合わなくなってしまったんだろう・・・・・


   小学校に入るまで 


   片時も離れずいつも一緒だった


   小学校に入り 学年が上がるごとに 


   周りがだんだんと 


   二人でいるのを冷やかすようになった・・・・・

   
   今 考えれば 

  
   人気のあったつぐみを

   独り占めしている俺への

   やきもちもあったかもしれない


   あの時は ただただ 

   からかわれるのが嫌だった・・・・・・

   だから つぐみに 


   何時の頃からか 冷たくしていた

   
   それでも脇田家が 

   家に来た時だけでも 


   普通にしていれば

   良かったのかもしれないが・・・

   不器用な俺は 

   そんな 器用な切り替えはできなかった・・・・


   中学の時 


   俺もつぐみも もてていた・・・・


   つぐみの自覚はなかったらしいが・・・


    俺は 告白されるたび 


   「悪い 好きな子いるから」と断っていた

    
    俺なりの つぐみへの誠意のつもりで

   
    でも ある時 廊下で 聞いた 


    他のクラスの奴の言葉に耳を疑った


    「あいつは 誰とも付き合えないらしいよ 

     父親が勝手に決めたいいなずけが

     いるんだって」

    なんだよ・・・・・

    親父が勝手に決めたって・・・・

    ・・好きだから・・・・・

    じゃないのかよ・・・・・

    心に 闇が広がった

    俺だけ気持ちが

    置いて行かれたようで

    あの日からか・・・・・

    なんだか桜の下での約束を 守っていたのは 

    自分だけなんだ・・・

    と思ったら むなしくなったんだ・・・・・・・


  もうすぐ 高校と言う時 

     
     エスカレーター式付属で 

     今まで進学していた 樹は

     他の学校にも行ってみたいと

     高校は付属に進まないと言う

     もともと 他校に興味のあった俺は 

     樹と供に 理系の高校に

     進学することを決めた。

     つぐみと 少し距離を置くのも

     いいと思ったし・・・・