「悪かった」


そう言って、私を抱きしめる。


「待たせてごめん」




暁くんは、

指で私の濡れた髪の毛をなでつけ、

それから

顔についた雨の滴を拭った。




「行こう」



浴衣の袖を傘のようにして
私の上に広げると

「走るぞ」
といって駆け出した。



境内の裏の駐車場。
屋根があって雨がしのげる。

なんとか駆け込むと、
神社の人が出てきた。



「ずいぶん濡れてしまいましたね。
 今、火をおこすので
 少し暖まっていきなさい。
 しばらくすれば、
 この雨もやむでしょう」


「ありがとうございます」


神社の人が、ドラム缶の中に木をつめ、
たき火を作ってくれた。