クールな弁護士の一途な熱情




「すみません、吉井さん。それではここからは彼女も入れて三人でお話ししましょう」

「えっ……私、伊勢崎先生に聞いて欲しくて来たんですけど」

「ですが相談内容によっては同性の彼女のほうが適任かもしれないですし。それとも、他の女性弁護士がよろしいですか?」



にこりと笑みを浮かべて言う静から、彼が守りの姿勢に入っていることは明らかだ。

女性もそれを察したらしく、一瞬で涙を引っ込める。



「……もういいです。やっぱり帰ります」



そして、テーブルの上のコーヒーに手をつけることもなく、彼女は足早に部屋をあとにした。



ふたりきりになった部屋で、バタン、と閉じられたドアの音を聞きながら静は小さく息を吐く。



「ふぅ、助かった。入江ありがとね」

「いつから私、弁護士の卵になったの?」

「ごめんごめん。あれ以上彼女とふたりきりになるのはまずいと思って」



静はそう言いながら、立ったまま私が持って来たカップを手に取りコーヒーをひと口飲んだ。



「人目が気になると話しづらいっていうからブラインド下げたのに、まさか泣き出して立ち上がってこっちに抱きついてくるとは思わなくて」




近づいて来た彼女に対し、静も立ち上がり逃げるように後退して、壁際まで追い込まれてあの構図になったのだろう。

あの人のように、困っていて相談に来るというより、イケメン弁護士との出会いのきっかけづくりのために来る人もきっといるのだと思う。