クールな弁護士の一途な熱情




ガラス張りの個室は、今日は珍しくブラインドが下げられ中が見えないようになっている。



そういえば、時々相談しているところを見られたくないからってブラインドを下げてほしいと望む人もいると花村さんが言っていた。

今日の人もそういう人なのかな。

そう思いながら、ドアをコンコンとノックする。



「失礼します」



そしてドアを開けて、室内を見る。

ところがそこにあった光景は、テーブルを挟んで座り話をするふたり……ではなく。

部屋の端で静の胸に抱きつく女性、というものだった。



予想外のその光景につい唖然とする私に、静は困ったように両手を挙げたまま。

なにもしてません、触れてすらいません、といったポーズをしている。



えーと……この光景は、つまり。



「……す、すみません。お邪魔しました」

「って待って待って!誤解だから!」



ふたりの時間を邪魔してしまった、とコーヒーをテーブルに置いてすぐ去ろうとする私に、静は全力で否定する。



「吉井さんも落ち着いて!ね!一旦離れて、座りましょう!」



そう女性をなだめ、静はそっと彼女から距離をとる。

彼女はクスンと泣いている様子だ。



うわぁ……なんだか面倒くさそう、巻き込まれないようにしよう。

頭の中で判断し、今度こそ部屋を出ようとした。けれど静は、そんな私の肩を掴み引き止める。



「あっ、そうだ!入江、きみも弁護士の卵として依頼人の方のお話を一緒に聞こう!ね!」

「はい?」



私がいつから弁護士の卵に?

怪訝な顔でそう言いかけた私に、静は『お願い!ふたりきりにしないで!』といった目を向ける。

そんな必死な姿がもはや可哀想で、私はそれ以上言うことなく「……かしこまりました」とその場に残ることにした。



私という味方がついたことで安心したのか、静は少しよれたジャケットの襟をピンと正しながら彼女のほうを見た。