クールな弁護士の一途な熱情




「だけど、あのふたりだけは俺の理解者でいてくれたから」

「え?」



理解者……?

その意味を問うように言葉の続きを待つと、静はウーロン茶をひと口飲んでつぶやく。



「俺たち三人とも、前まで他の法律事務所にいたんだ」

「あ、三人とも同じところにいたんだ」

「うん。そこは業界内でも大手の、弁護士やパラリーガルも沢山いるところでさ。依頼も多かったけど、所長自身が依頼者を金としてしか見てなくて」



依頼者を、お金として……。



「利益重視で、依頼者の不安な気持ちも考えずに料金ふっかけて。人の力になりたくて弁護士になったはずなのに、なにやってんだろって悔しかった」



思い出しても腹が立つのだろう。その声の端々から憤りが感じ取れる。



「で、我慢できず反発した結果『代わりなんていくらでもいる、嫌なら辞めろ』って言われたから、なら独立してやる!って」

「はは、その勢い静らしい」



思わず笑ってしまうと、静もつられるように笑う。



そっか。静は依頼者の気持ちに寄り添った弁護士でいたいと願っているんだ。

その真っ直ぐさが、先日仕事中に彼が見せた誠実な眼差しに現れていたのだと思う。



「でも独立って、勇気いるでしょ?」

「もちろん。けどふたりは、そんな俺に賛同してついてきてくれたから。そんな彼女たちのためにも頑張らなきゃっていっそう思えたよ」



花村さんと壇さんも同じ迷いを抱えていたのだろう。

そしてきっと、そんなふたりの背中を押したのは静のブレない気持ち。