「それでは、入江がうちの事務所に加わったことを祝って」
「乾杯」
静の言葉を合図にグラスを合わせると、コン、と小さな音が響いた。
するとほどなくして、今度は料理が運ばれてくる。
ふたりの間のテーブルの上は、焼き鳥や手羽先、サラダ、お刺身などであっという間に埋め尽くされた。
遠慮なく焼き鳥を一本手に取り食べると、焼きたての鶏肉に甘くしょっぱいタレがよく合っていておいしい。
「うん、おいしい」
「来たがってた壇さんが来られなかったのが残念だよねぇ。よし、写真撮って送ってあげよう」
「怒られるよ……」
スマートフォンで手羽先の写真を撮る静に、明日壇さんが『私も行きたかった!』と怒るのが想像ついて苦笑いがこぼれた。
「前に花村さんにも言ったんだけどさ、やっぱり三人とも仲いいよね」
「まぁね。歳もわりと近いし、ていうかあのふたり俺を上司だと思ってないんだよ。特に壇さん」
焼き鳥を一本食べ終え、串を置きながら頷く。
確かに……。
花村さんはパラリーガルという立場上か、一応敬語を使ったり『伊勢崎先生』と呼んでいるけれど、壇さんはそういった様子は一切ない。
花村さんが以前、『弟のよう』と言っていたのを思い出した。
けれど静も、呆れたような顔をしながらもそれを嫌がるそぶりはない。



