「いえ、今のまんまですよ。明るくて、男子にも女子にも人気があって」
「へぇ、いいわねぇ!イケメンは生まれながらにリア充で!」
「ごめんね、果穂ちゃん。都子こう見えて大学デビューだから高校時代に暗い思い出しかないの」
チッと舌打ちをうつ壇さんに、花村さんが笑顔でフォローする。
壇さん……そうだったんだ。触れてはいけない部分な気がする。
笑っていいのかわからなくて、ぎこちなく笑みをひきつらせた。
「私の高校時代のことはいいのよ!それより果穂、伊勢崎くんの高校時代の秘密とか黒歴史とかないの!?」
「え!」
よほど静の弱みを知りたいのか、壇さんは私の肩を掴み揺さぶり問いただした。
秘密、黒歴史……と言っても、勉強も運動もできてモテて、非の打ち所がないような人だったし。
どれかといえば、私なんかと付き合ってたことが彼にとっては黒歴史かもしれない……!と思っても言えないけれど。
あれこれ考えながら、壇さんにガクガクとゆさぶられていると、今度は後ろから誰かに頭をガシッと掴まれた。
「なーに朝から恐ろしい話してんの」
「し、静!」
顔を上げると、背後に立っていたのは静だった。
肩を掴んでいた壇さんの手から解放され、振り向くと、彼は今日は黒いスーツを着て灰色のネクタイをきっちりと締めている。
中にはベストも着込んでいて、見ているこちらが暑苦しい。
けれど顔色を変えないどころか、汗ひとつかいておらず爽やかだ。
「伊勢崎先生。おはようございます」
「おはよう」
丁寧に挨拶をする花村さんに応えると、静は続いてこちらを見る。



