体の奥まで響くような低い音と、少し遠く聞こえる、人々の盛り上がる声。

それらを聞きながら、私たちは強く抱きしめ合う。



あの頃、私が彼を信じられていたらなにか変わっていたのかな。

そう思う気持ちもある、けど。

12年間、遠回りもしたその時間があったからこそ、今のふたりがあるのかもしれない。

そう思うと、きっと無駄なことなんてなかった。



空に輝く打上花火の下、抱きしめる彼の体温を私はきっとずっと忘れない。

あの夏の思い出とともに、この胸に刻んだ。