クールな弁護士の一途な熱情




「……お風呂、ありがと」

「どういたしまして。って、なんか機嫌悪い?」



この気持ちは顔に出ていたのだろう。手元のスマートフォンから顔をあげた静は理由がわからなそうに首をかしげた。



「別に。全く悪くないけど」

「それならいいんだけど。じゃあ俺も風呂入ってこようかな」



ソファから立ち上がった静は私の目の前にたち、熱にほてった私の頬をそっと撫でた。



「冷蔵庫に貰い物のお酒あったからさ。風呂出たら一緒に飲もっか」

「お酒?静弱いんじゃないの?」

「うん、すぐ酔っ払っちゃうとは思うけど、自宅だし入江とだから。今日は特別」



静がそう笑って言う『特別』に、つい先ほどまでのモヤモヤとしたきもちが丸め込まれてしまうから、困る。



「……じゃあ、なにか簡単なおつまみでも作るよ。冷蔵庫のもの使って大丈夫?」

「本当?やった。いろいろあるから適当に使って」



静は嬉しそうに笑って、浴室の方へ向かっていく。

そんな後ろ姿を見送り、私はダイニングの奥にあるキッチンに立った。



冷蔵庫を開けると、そこにはスパークリングワインが2本冷やされている。

お酒ってこれか。じゃああとは……あ、トマトもチーズもある。クラッカーもあるし、おつまみにうってつけだ。



こうして見ると意外と食材ちゃんと揃えてるなぁ。自炊するんだ。

いや、もしかして……作ってくれる女がいるとか?



先ほどのピアスの件が再び思い出されてしまい、また胸の中がモヤモヤしてきた。

その気持ちを誤魔化すように、私は冷蔵庫から食材を取り出し手を動かした。