「適当にくつろいでもらっていいから」
静は私の一歩先で靴を脱ぎ、いくつかのドアが並ぶ廊下の突き当たりのドアを開ける。
続いてその部屋に入ると、そこには大きな窓の広いリビングダイニングが広がっていた。
広い……!
この部屋だけで私のマンションの部屋くらいの大きさだ。
壁一面の大きな窓からは夕焼けに染まる横浜の街が一望でき、私は思わず窓際へ近づく。
「わ……いい景色」
「この景色がよくてここのマンションにしたんだ。見て、あの辺りに通ってた高校も見える」
「あっ、本当だ」
同じく窓際へ近づいた静は、私の背後に立ち街の遠くの方を指差す。
その指先が示す先に立ち並ぶ建物の中、小さく校舎の後ろ姿が見えた。
「私の家が向こうの方で、静の家はあの辺じゃなかったっけ……」
思わずはしゃぎながら窓の外を指差して、振り向く。
すると、すぐ目の前に静の顔があり、思ったよりも近くにいたことにドキッとした。
静も無意識に距離を詰めてしまっていたようで、すぐ近くにいた私に気づくと、一歩下がった。
「お風呂沸かそうか。入江も服洗濯したいよね」
そして給湯器のスイッチを入れると、一度奥の部屋に行って戻ってくる。
その手に持った黒いパーカーとジャージを私へ手渡した。



