それから私と静は、ふたりで食事をして、少し辺りを散歩してタクシーに乗り帰路についた。
気づけば空には、オレンジ色の夕日が広がっている。
「わざわざうちの方回ってもらっちゃってごめん」
「ううん。入江の家、うちに行く手前だし。ついでだよ」
電車で帰ろうとした私に、静はそう言ってタクシーで送ってくれたのだった。
見慣れた道をタクシーで抜け、ほどなくして自宅の前に停められる。
ひと気がなく、自宅前に車もないのを見て静は不思議そうに言った。
「あれ、今日家の人いないの?」
「うん、両親ふたりとも一泊で出かけてて」
答えながら、自宅の鍵を取り出そうとバッグの中を探る。
ところが、どこを探しても鍵のついたキーケースは見当たらない。
「あれ……ない」
「え?」
あれ、私今朝自宅出るとき……は、お母さんたちがいたから鍵閉めてないや。
そうすると、最後に使ったのは昨日の夜。
帰宅して、鍵を自室のテーブルに置いて……そのままだ!
出かけに言われていたのにすっかり忘れていた、そんな自分に呆れて頭を抱えた。
「鍵忘れた?大丈夫?」
「うん、大丈夫。明日には親も帰ってくるし、今日は駅前でネットカフェでも探すよ」
静に心配をかけてしまわないように、そう笑って一旦車を降りようとした。
けれど静はそんな私の腕を掴んで引き留める。



