「声かけてくれればいいのに」


なんて不思議そうに近づいてくる。


無自覚って怖いな。


彼が歩く動線に沿って、周りにいた女の子たちの視線も動く。


「可愛いね、服似合ってるよ」


テンプレートのように出てくる言葉。


素直に受け止めればどうってこともないセリフだ。


「どうも。で、どこ行くの?」


「んーと。俺甘いもの好きでさ…」