私は彼の手を引き列がある方へと進んだ。
「並ぼ。行きたかったんでしょ?」
何かしたいと思ったらやる。
それが私のポリシーだ。
「え、でも…」
「ほら、会話担当、頑張れ」
なんて冗談を言いつつ並ぶと
少し周辺がざわついた。
今どき映える店に男の子が並ぶとこういうことになるのか。
「桜ちゃんって意外と強引なんだね」
「明原君が消極的なの」
ごまかすように自分を正当化するけど、自分でも驚いてる。
多分ひとりならまた今度にするはずなのに。
並び始めたときのざわつきはすぐに消えて
周りの女の子たちは自分たちの話へと戻っていった。