女の子はそぅっとそぅっと近づいていきましたが気配に敏感な狼に感づかれてしまいました。

「そこに居るのは誰だ?」

地を這うような低い声に女の子はびくっとし、握りしめた熊の顔がつぶれました。

「どうしたんですか、狼さん?」

震えたままの女の子と狼の前にふわふわとした羊がやってきました。

「人間がいる。」

その言葉に羊がわずかに警戒し、女のこの方に歩み寄ってきました。

羊のくりっとした目と女の子のウルウルとした瞳がぶつかりました。

しばし沈黙が漂います。