「ちょっ!陵君!いきなり何するの!」
当然私は抗議しましたが、そんなちっぽけな抵抗は虚しく
「うるさい、彩佳のくせに生意気」
と二度目のデコピンを食らいました。

「彩佳」
「ん~、何~?」
それから諦めて大人しく勉強しようとしていた私に、陵君が話しかけてきたので、床に置いてあった教科書を取るのを止めて振り向いたら、あと十センチぐらいのところに陵君の整っている顔があった。

陵君も、思ったより近かっからか、すぐにバッと顔を背けた。


ブーブー、残念
もう少しさっきのたいせいでいたかったけど、ま、いっか!そもそも、こんな本音絶対に陵君に言えない!

もし、言っちゃったらこの関係が終わりそうだし……

……そういえば、何で急に『下の名前で呼び合おう』とか私のことを抱き締めたりとかしてきたんだろう?