「ねえ、陵ってスゴいよね。」
「え?」

二宮と星名の間に人がいないため必然的に隣になった優翔君が話し掛けてきた。


「だって、入試首席だぜ
まぁ、あいつ中学の時からテストは毎回トップだったけどな」

「スゴいんだね。陵君って」

言ってしまってから しまった! っと、思った。
普通なら、〟新河君〝なのに〟陵君〝って言っちゃった。


優翔君、さっきの私のカタコトは、見逃してくれたのに今度は逃さないからみたいな顔してるし……


「彩佳ちゃん、今陵のこと『陵君』って言ったよね。
なんで?」

ほら~……聞いてきた!

…………この際、全部話す?私がこの高校に来た理由とか全て……

でも……

そんな私の困った雰囲気が分かったのか優翔君が
「ごめん、別にそこまで悩んで話してくれなくていいから」

「え?本当?」

「ああ、でも話せるようになったら話してくれる方が嬉しい。」

「わかった!」

私と優翔君はコッソリと笑いあった。


でも、気づかなかったの。そのことを、顔には出してないけど不機嫌そうに見ている彼のことを……