「えっ!」
そこには、本西くんがいたのだ。
本を読んでいる。
「どうしてここに...?」
ここは誰にも教えていない、私だけの秘密の場所だ。
しかも、ここに来るための細い路地はとても暗いからこの先に原っぱががあるとはだれも予想しないだろう。
「べつに。ここが好きだから」
本西くんは本から顔を上げて言った。
「川崎こそ、どうしてここにいるんだ?」
「ここ、お気に入りの場所なの。ここに来ると、落ち着くんだ」
私は正直に答えた。
あ、しおり!
「あの...このしおり本西くんの?」
カバンからしおりを出す。
「あっ!お、俺の」
「良かった、読書の邪魔してごめんね」
そして私もカバンから本を取り出した。

