強く腕を引っ張られる。

体がロイの腕の中へと包み込まれた。


「リン、大丈夫か?」

「うん。ロイも濡れるよ?」

「そんな事はいい。ほら、風呂に………。」


ドン‼︎


「きゃっ!」


ロイの言葉が激しい雷の音で掻き消された。

大きな音に心臓がばくばくと鳴り出した。

視線を外へ向ければ、大雨が降り、風も吹き始めていた。

あの日を思い出す。


「リン、風呂に。」


また目の前が眩しくなった。

激しく雷が鳴っているのだ。

その雷を見つめる。


「リン、危ないから中へ。」


ロイの言葉が遠くに聞こえる。

意識が雷へと集中する。

次の瞬間………


ドン!!


海辺の街路樹に雷が落ちた。

目の前が眩しくなり、体が動かなくなった。

記憶が蘇る。


「嘘………。」


あの日の眩しさが蘇ったのだ。