「リン、用意できたか?」

「うん。」


パタパタとロイの待つ玄関に走っていく。


「リン様、家の中を走らないでください。」

「ごめん、ダヴィ。」

「荷物はこれで宜しいですか?」

「うん、ダヴィ、私が持つよ?」

「いえ、お持ちします。」

「ありがとう。」


大きな鞄を持ってくれるダヴィにお礼を言えば、ロイが私をじっと見ていた。


「ロイ?」

「リン、肩を出し過ぎじゃないか?」

「えっ、だってバカンスでしょ?ちゃんと上着もあるし大丈夫だよ。」

「………まさか脚も出して過ごすつもりか?」

「あっ、うん。ロイと一緒だし、別に大丈夫だよね?」

「………仕方ないな。」


私のラフな服装に不満気なロイだけど、今日は仕事ではない。

ロイとシャノワール内を旅行するのだ。

少しくらいバカンス気分に浸りたい。