ダヴィが紅茶を淹れる。

俺の前にはリンがソファに座っている。

何故か向かい合わせで座るのが俺とリンの定位置になっている。

これも何とかしたい一つだ。


「ロイ、話があるんだけど。」


少し強請るような声色。

俺にとっては良い話ではなさそうだ。

警戒するように少し声が低くなる。


「どうした?」

「来週、泊まりで視察に行くことになったの。」

「泊まり?」


ほら見ろ。

俺には良い話ではない。


「ミシェルの視察に同行するように言われて。だから行ってくるね。」

「………気をつけて行ってこい。」


見栄を張った。

本当は会えなくてなるのが嫌だから行かせたくないが………嫌われるのは最悪の事態だ。

だから快く承諾したように見せる。