俺は彼女に近づきたいと考えるようになった。

どうしたら彼女は俺を本物の婚約者だと意識させられるか。

こればかりを考えるようになっていた。


『契約の花嫁』


彼女を離したくない一心でついた嘘。

それが足枷になってしまうとは………。


「リンは?」

「今日はエバンズ夫人と仕事関係の会食です。」

「………そうか。」


今夜は会えるだろうか?


「ロイ様、リン様が帰って来たら、リビングへお誘いしますから安心して夕食をどうぞ。」

「………。」


ダヴィには見透かされている。

そんなに顔に出てたか?


「ロイとは幼馴染みなんだ。考えてる事ぐらい分かるんだ。」


プライベート口調で揶揄われた。

基本、公私混同しないダヴィだが、こんな一面もある。

文句なしの執事だ。