『運命の出逢い』

柄にもなく考えてしまっていた。

彼女が何者かは知らない。

聞いたことのない国も嘘かもしれない。

だけど自分のインスピレーションを大切にしたいと思った。

シャノワールも俺自身も知らない彼女。

それは本当のように思えた。

不安で揺れる瞳は本物だと。


「よし!決めた。」


書斎を出て、再び彼女の部屋へと入ったが、熟睡しているようだ。

椅子へ座り、彼女を眺める。


「フッ、あり得ないな。」


いつまでも見つめていたいと思ったのは初めてだ。

いつのまにか寝ていたようだ。

陽の光に目が覚める。

彼女の目と合う。

俺は持ち掛けた。

決して断ることが出来ない条件で。


「これは契約だ。私の花嫁になれ。」