「雨の中、門で倒れていたリンを連れて帰った。」

「うん。」

「メイドが着替えさせ、ベッドに眠るリンは物語に出てきそうな異国の姫のようだった。」

「まさか………。」


そんな美人でもないし、姫なんて程遠い気がする。

だが、話を続けるロイの表情は真剣だ。

そのロイの瞳を見つめた。


「幸運を呼ぶ黒猫。本当に俺は幸運を手に入れたと思った。絶対に手に入れたい………そう願ったんだ。」


知らされるロイの気持ち。

驚かされる話ばかりだ。


「婚約で痛い目に合った筈なのに。リンだけは絶対に手に入れたいと思った。だから………契約を持ちかけた。」

「………。」

「リンが飲み込まざる得ない条件で。」


一気に話すロイを見つめていた。

ロイの本当の気持ちが私を温かく包み込んだ。