ロイが窓の外に向けていた視線を私に戻してきた。

固い表情のロイに、つい身構えてしまう。


「私は愛など信じない。利用されるだけの愛など必要ない。」

「ロイ?」

「リン、君の瞳を見た時に決めたんだ。シャノワールでは黒猫、そしてオッドアイは幸運をもたらすモノだと言われている。」

「………。」

「だから君と結婚する事に決めたんだ。リン、君は行く所もシャノワールに知り合いもいない。つまり、私を利用する理由もない。」


確かに、私はシャノワールで孤独だ。頼る人もいないし、ロイに放り出されたら行き場もない。

私にとってもマイナスな契約ではない。

でも愛のない結婚なんて………寂しい気がする。