「ん…………。」


徐々に目が覚めてきた。

目を開ければ、すっかり暗い闇に包まれていた。

ベッドに体を起こし、窓際を見ればロイが立っている。


「ロイ?」


振り返るロイの視線と交わる。


「リン、起きたのか?体調は?」

「すっかり元気だよ。」

「そうか。」

「うん。」


二人の間に沈黙が流れる。

先に口を開いたのはロイだった。


「ダヴィに聞いた。」


その言葉で昼間のダヴィとの会話を思い出す。

ロイが私から視線を外して窓の外へと向けた。


「君が倒れていたのは激しい雨の日だった。門の外で真っ黒な服を着た君が微動だにしないでいたんだ。」


真っ黒……。

多分、黒いコートを着ていたからだろう。