後ろからユートが追いかけてくる。

ちらりと見るが、激しい雨で姿が薄っすらと見えるだけだ。

激しい雨。

ピカピカと光る雷。

スコールが激しさを増す。


「リン、走れ。」


ロイと繋がれた手を引っ張られる。

歩行者用の信号が点滅する。

それでもロイは走り抜ける。

ふと後ろを振り返る。


「ユート!」


信号で止まるユートに叫ぶ。


「ユート!元気で!」


祈った。

ユートが幸せになれるように。

祈った。

私の選択は間違ってないと。

途端に目の前が眩しくなった。


「リン!」


ロイの叫び声。

力強く引かれる手。

縺れる足を頑張って動かした。


「リン!」


雨で滑る。

足が縺れる。


「リン!」


ロイの叫び声が聞こえた。

背後で激しい音が聞こえる。

耳がどうにかなりそうだ。

上がる息、縺れる足………

視線の先には眩しい光が………


私はどうなるの?


そこで意識が途切れた。


私はどうなったの?