「ユートはいつからシャノワールに?」

「もう10年は経つかな。」

「10年?それでも日本に帰りたいと思うの?」


ユートは10年も経つのか。

シャノワールで幸せになれない?

ずっとシャノワールでは駄目なの?


「俺、日本に家族がいるんだ。愛してる奥さんも………生まれたばかりの子供も。」

「………子供?」

「そう。俺の家族が待ってる筈なんだ。」


遠くの地平線を見つめるユートは家族を想ってるのだろう。

ずっと遠くだけを見ている。


「この仕事だって、シャノワール国内を転々と出来るからだ。きっと何処かに帰る場所を見つけられると信じてるから。」

「帰る場所?」

「そう、日本と同じ現象が起きる場所。」

「見つけたの?」


遠くを見つめるユートの視線が私へ向けられる。

その瞳は何かを見つけているように思われる。


「何となくは………見つけた。」

「そうなんだ。」


私はどうする?

ユートみたいに帰る?