しばらく沈黙が続いたが、その沈黙を破ったのは柔らかな雰囲気を纏った彼だった。


「それでエミリーはどうする?共倒れする?それとも2人を祝福する?」


緩やかな話し方の記者だ。

既に緊迫した空気は失われていた。

エミリーはどうするつもりだろうか?

気持ちだけが焦る。

思わず………


バシャ!


静かなプールに私の潜る音が響いた。

緊張し過ぎて………居ても立っても居られない居られない状態だった。

心を落ち着かせるようにプールの中で動きを止める。

目を閉じて心を落ち着かせる。


バシャ!


勢いよく飛び出して髪を掻き上げた。


「ふふっ、本当に変わった子ね。」


聞こえてきたのはエミリーの柔らかな声。


「もういいわ。ロイ、私を選ばなかった事を後悔しないでよ。私も自分の幸せを見つけるわ。」


信じられない言葉が聞こえてきた。


「それはないな。俺にとっての幸運の黒猫だ。絶対に後悔しない。エミリーにとっての唯一が見つかる事を願ってる。」

「私は行くわ。ロイ、仕事のオファーなら歓迎だから。婚約者さんとお幸せに。」


エミリーがプールサイドから去っていく姿を見送った。