突然唇を塞がれキスをされた。

驚きに目を開けた。

間近にあるロイの顔が怒っている。

ロイの顔が迫り、再びキスをされた。


「リン、ふざけるな。」


ロイの怒りが伝わる。


「俺の気持ちはどうでもいいのか?」

「ロイ、でも………これしか………。」

「リン以上に大切な人はいないって言っただろ。リンだけは譲れない。」

「なら、世間を納得させられる?ロイの未来やダヴィの未来。ううん、レアード家の未来はどう守るの?」


私が守りたいのは皆んなの未来。


「リンは俺の幸せを考えてくれないのか?」

「考えてるから言ってる。私じゃなくても………。」


また唇を塞がれた。

それも濃厚な………。


「………ロイ!」


ロイが泣いてる?

プールの水ではなく、涙が流れてる?


「ロイ?」

「リンだけは譲れない。」


抱き締める腕は震えている。

怖がってる?

ロイの弱さを初めて見た気がする。