「ロイ、過去が曝け出されたら、間違いなく株価は急下降ね。」

「そうだな。エミリー、キミと関わったのは俺の過ちだ。」

「私はロイに捨てられ、元社長とその息子に遊ばれた悲劇の女優を演じる。」


悲劇のヒロインとしての筋書きが立てられてる。

レアード家当主であるロイ、その執事であるダヴィが酷い男として世間に晒される。

レアード家は誹謗中傷の的になるだろう。

だけど全部が作り話だ。

世間が認めるわけない。


「そんな嘘は誰も信じない。」


低い声が響いた。

怒り。

私の心に生まれたのは怒りだった。


「そんな嘘は誰も信じない!」


大きな声で叫んだ。

心が痛い。

そんな嘘をつく彼女が憎いと思った。


「ふふっ、婚約者さんは私の世間の力をご存知ないようね。」

「世間の力?」

「世間はロイより私を信じるわ。だってロイは婚約破棄でも有名になってるし、プレイボーイとしても有名だから。」


婚約破棄………

プレイボーイ………

私が騒がれた時、メディアから聞かれた質問だ。

何も言わないロイ。

きっとロイも世間の反応が予想できるのだろう。

私はシャノワールを本当に知らない。