「大学時代、俺はキミの親友と付き合ってた。だけど、俺には浮気癖があった。それを知ったキミは俺を誘惑してきた。」

「それは彼女より私の方が相応しいと思ったからよ。そう、今の婚約者より私の方が相応しいと思ってるからよ。」


さすがは人気女優だ。

でも当たってるかもしれない。

それにしても………


「浮気癖………?」


小さく呟いた。

ロイの視線を感じて見上げれば、初めて見る悲しそうな顔のロイがいた。

ロイの瞳が不安で揺れている。


「婚約者の彼女は知らなかったみたいね、ロイが女癖の悪い男だって事を。」

「………リン………。」


ロイの泣きそうな顔に手を伸ばして、頬を優しく撫でた。


「ロイ、続きを話して。」


私の手を掴んだロイの手が震えているが、どうしても先が聞きたかった。

ロイは頷くとエミリーに向き直した。