「菊池さんも一緒が良かったけど今日は午後から出てて帰ってこないって。とりあえず彼女、三浦さんって言うらしいけど早退してこっちの駅までくるそうよ。」

「会うの?そんな……心の準備が…」

有希はたまに驚く行動を起こす。
私が戸惑っていると、

「まずは傷ついている相手が実在する事を目の当たりにするべきなの。会わないでいるとふわっとした罪悪感と菊池さんと別れて辛いとか寂しいとか思うだけでもし新しい人と付き合いだしたらそんな事も忘れるんだよ。でも香織は違う。離婚するにしてもしないにしても忘れることはなく心の中に瘢痕を残すでしょう。私は許さないわ。香織を傷つけた菊池さんもその三浦って子も。」

有希は私のために怒ってくれてるんだ。
許さなくていいのか思うと涙が出た。
心のどこかで受け入れて許さないとって思ってた。
私自身、生身の浮気相手を目の当たりにすることで旦那の浮気をより実感するだろうことが怖くもある。