『うん。そうだね。わかった。勝手な事してごめんね。』
あっ、稗田さんの謝ることじゃないのに…

「ごめんなさい…稗田さん…」

一気に色んな感情がこみ上げてきて涙が止まらず、まともに話が出来なかった。

『えっ?香織ちゃん?泣いてる?大丈夫だよ。俺、理解するって言ったでしょ?香澄ちゃんの事や香澄ちゃんのパパのことも。寂しい事もあるけど2人でその時その時の最善を見つけていこう、ねっ?』

見えるはずないのに私は頷くばかりで声が出ない。

『ハハハッ、香織ちゃん泣きすぎ。電話じゃ抱きしめられないよ。今度は俺の前で泣いてよね。普段頑張ってるんだから俺の前ではそうやって弱いところも見せて欲しいしひとりで泣かないで欲しい。ね?』

「うっ、うぅ…わかっ…た。」

『今から行くよ。20分くらい待ってて。』

そう言うと稗田さんは電話を切った。
いきなり来るって…びっくりしすぎて涙が止まった。
そわそわしながら、あがるかな?顔見たらすぐに帰るのかな?何て考えながらとりあえずコーヒーメーカーをセットし暖かいコーヒーが出せるように準備した。