稗田さんからスウェットとハーフパンツを借りた。
さすがに彼シャツなんて言って、だぼっとしたスウェット一枚で過ごすことに抵抗があり、かなり強引にハーフパンツも借りたのだ。
しぶしぶハーフパンツを貸してくれた稗田さんは不満気だったけどそこはスルーした。

「さあ、香織ちゃんここに座って!」

と言われたのはソファーに座った稗田さんの膝の間で片手にはドライヤーを持っていた。

「えっ?髪は自分で乾かします。子どもじゃないし!」

美容院以外で乾かしてもらう経験なんてなかったし、恥ずかしい…

「えぇ~!これくらいさせてよ~!ズボンは貸してあげたでしょ?レンタル料。」

「そ、そんな!レンタル料なんてケチです!そういうことはもっと若くて可愛い子にしてあげてください!」

なんだか言ってて胸がチクチクするけど、でも本音だ。

「えっ?香織ちゃんって俺を弄んだの?正式にお付き合いスタートさせたんじゃなく?他の子って…」

もはや目の前のカッコいいはずの稗田さんが変態オヤジと化してるのが何だか可愛くも見えてきた。
はぁ、好きだなぁ。
そう思ったらもう拒否するのも躊躇われて稗田さんの言うとおりに従った。