傷つけてるのかな?
離婚もしてないのに稗田さんに甘えすぎたのかな。
浮気の共犯者にしちゃったし…
稗田さん、落ち込んでるんだ。どうしよう。
会いたくてたまらなくなった。
ダメだ。まずは目の前の事に誠実にならなきゃ。

離婚するに当たって自分で決めたルール、娘を第一に。もう私しか居ないから…私が傷つけることはしない。
だから今は娘の心のフォローも含めて新しい生活の準備を万端にしないと。
自分に言い聞かせると、買い物をして家に帰った。

家に帰り着くと何となく予想してたけど田邉さんから電話があった。

『おい、夏川に胸を貸したってどういうことだよ。』

「久しぶりね、田邉さん。挨拶もなしに開口一番おいって、社会人としてどうなの?たまたま会ったのよ。夏川くん可愛いからついね、フフッ」

笑って勘違いしそうな風にわざと言ってみた。

『ついって…ダメだろう。いや、あいつは俺一筋なはずだからな、うん…。先輩も電話しようとしたら全力で止めにかかるし…何だよ。避けられてる?』