「月の半分は行ってもらってるかな。うちの商品はそれで成り立ってるからね~!」

「そうですね。うちの社長は人使い荒いんで。時差やらでフラフラですよ。もう若くないのに。」

フフフッ、この2人仲が良いんだなぁ。

「夏川さんっておいくつ?」

「34です。海外に飛び回るのもキツくなってきました。」

まだ20代かと思ってた!

「まだまだ若いよ。香織ちゃんもさん付けしなくて夏川でいいよ。」

稗田さんの少し意地悪なニッて顔、好きだな。
なんて不謹慎な事を思ってしまう。
稗田さんと過ごす時間は自分が落ち込んでたことを忘れさせてくれる。
楽しい…

「フフッ、じゃあ夏川くんで!20代かと思ってた。」

2人の掛け合いを聞きながら楽しくご飯を食べた。
楽しい時間はあっと言う間だった。

「香織ちゃんいつもの所まで送るよ。」

あ、そうか有希の家にまだお世話になってるって言ってなかった。

「あ、いえ…まだ帰ってなくて…ここからすごく近いので歩いて帰ります。今日は楽しかったです。いつもご馳走さまです。」

そう言うと稗田さんの顔が一瞬だけ困ったような悲しいような表情になったけど、すぐに優しい笑顔に戻る。