動悸が止まらなかった…
そっか、田邉さんと夏川さん…
予想外で驚いた。自分の周りに同性カップルなんていないから当然のように可能性を排除してた。
傷ついている人がいたんだ…私も傷つけちゃったかも…
何故だか私も涙が出た。
恋人から忘れられるなんてどれだけ悲しかったんだろ…

その夜、田邉さんから謝罪と無事帰れたかを確認するメールが届いた。
私も無事に帰れたことだけメールで返した。

そしてその日は旦那の帰りが遅く日付をまたいで帰ってきた。
私は起きていたけどリビングで待っているのも嫌でベッドに横になったけど眠れなかった。

「ママ?もう寝た?」
旦那は帰ってくると横になっている私に声をかけてきた。
寝たふりをしようか迷ったけど起き上がった。

「おかえりなさい。お風呂沸かそうか?」

そうして寝室から出ようと旦那の横を通ったときにフワッと香水の匂いがした…
そっか、たまに匂ってたな。
最近匂わなかったから忘れてたけど…
どうしてあの時はこの匂いに気づかなかったんだろう…