「なんで怪我するかな」
「……狙われたんだから仕方ないじゃん」
「普通に制服脱がされてるし」
「力が強いから敵わない」
なんだか今の雪夜は、いつもと様子が変だ。
不満気に何やらブツブツ呟いている。
「……なあ、御園」
「何」
今更そんな改まって、いったい何を言うつもりなのだ。
少し身構えていると───
「上書きしてぇ」
雪夜の大きな手が私の頬を包んだ。
甘く誘うその声に一瞬心が揺らぐ。
「あいつに触れられたところ全部、俺に教えろ」
命令口調なのが少しおかしいけれど笑えない。
雪夜が真剣に見つめてくるから、その瞳に吸い込まれそうになるのだ。
「嫌、帰るの」
「だから今日は帰さねぇって。
どうせ家でもひとりだし、別にいいだろ?」
「よくない、帰る。それに怪我してるんだから、同じところ触られたら痛いでしょ」
そんなことも考えられないのか。
やけに今日は優しいけれど、それなら最後まで貫き通してほしい。



