「私を抱きたいだけでしょ。命狙われてる相手にそんなこと思うなんて、あんたのほうがずっとバカ」
動じないよう頑張るけれど、やっぱり雪夜のことを真っ直ぐ見つめ返せなくて。
思わず視線を外してしまう。
「まあ勝手にそう思っておけばいい」
雪夜は特に私を説得することもせず、ただ私の唇に親指を添えてきた。
「……っ」
今の私、本当に変。
この動作だけで顔が熱くなるだなんて。
「顔赤いぞ」
「言わないでっ……」
「そんな反応してバカじゃねぇの。
唆られるだけなんだけど」
唆られるって、そんな言い方やめてほしい。
「無意識、だから…」
雪夜の胸元に両手を添え、押し返そうとするけれど。
力がうまく入らず抵抗することすらままならない。
「無意識だと余計に期待するけど」
「何の期待」
「……あー、もう本当にバカ。
そんな顔されて襲いたくなるに決まってるだろ」
少し余裕のない声。
初めて体を重ねた日は余裕たっぷりだったくせに。
今は最初からどちらも余裕がないだなんて、バカみたい。



