危険な愛に侵されて。




「……なんだよその反応」
「え…」


そんな私を見た雪夜は、意地悪く笑うわけでもなく。

ただ投げやりに言葉を吐き捨て、また私を少し乱暴に抱きしめてきた。


「雪夜…?」

戸惑いもあったけれど、抱きしめられたことに少し安心した自分もいて。


だってこの顔を見られずに済む。


「そんな顔すんな、バカ。
仮にも恨んでる相手に」

「……っ、わかってる、けど…」


彼は少し責めるようにバカと罵ってきた。

確かに私はバカだ。
自分でもわかっている。


けれど自分だって意識的にやっているわけじゃないのだから、止めようがない。


「じゃあ何、今は俺を殺したいとか思わねぇの?」
「……っ」

今一番、聞かれたくない質問。


毎日雪夜のことを考えるたび、視界に映るたび。
絶対この手で消すんだと思っていたのに。


「おかしな女だな。
意志の弱い」

「……話ってそれだけ?」


これ以上追求されてしまうと、図星のため何も言い返せなくなる。

それだと不都合だから、話を強制終了させて帰ろうと思ったけれど。