「あ、あの……私、白野未央って言います…!」


けれど彼女……白野未央ちゃんは、私から離れるなり少し緊張気味に自己紹介をしてきた。

その姿は見惚れるほどに純粋で、綺麗だと素直に思った。


「……私は御園静音です」


満面の笑みを浮かべ、その緊張をほぐすように私からも自己紹介をして。

すると未央ちゃんは嬉しそうに目を輝かせてた。


「静音ちゃん…!あの、またお話できたら嬉しい、な……」

「そうだね。また会えたら今度はゆっくり話しよう」


人は平気で嘘をつく。

もうこの場から去れば、二度とこの子に会うことはないだろうと思った。


申し訳ないけれど、こんな純粋な子に私は釣り合わないだろうから。

また会いたいとも、話したいとも思わない。


「雪夜、どこに行くの?」
「とりあえず部屋戻るぞ」

最後にもう一度彼女に笑いかけ、雪夜の後ろをついていく。


あの男とは目を合わせることも怖かったため、視界に映すことを避けながら───