それも私から守るような形で。
おそらくナイフという凶器を持っているからだろう。
それでわかった。
この男は今抱きしめている女の子を大切に想っているのだということを。
「わっ、神田くん…?いきなりどうしたの?」
けれど女の子は抱きしめられた理由をわかっておらず、ひょこっと顔を出す。
その時に私と目が合った。
くっきりとした二重まぶたに黒目がちな大きな瞳。
本当に小動物のようで、恐怖心がいくらか解けたためナイフを女の子から見えないよう鞄の中へと隠す。
「……え、神田くん、あの綺麗な女の子は誰……?」
何やら誤解してしまった様子の女の子は、途端に目に涙を溜めて潤んだ瞳へと変わる。
不安げに揺れる瞳で男をじっと見つめている女の子に対し、男はまた穏やかで優しい笑みを浮かべて女の子の頭を撫でた。
「俺も知らない人だよ」
「嘘、だっ…嘘つき、神田くんのバカ…」
どうやら本気で誤解してしまったようで、女の子はポロポロと大きな瞳から涙をこぼしてしまう。
変に口を挟むのはどうかと思いながら、ただその場で動けないでいたら───
「あー、やっぱこうなってたか」
突然後ろから手が伸びて私の腕を引き、抱きしめられる形へと変わった。



