真っ先に思い浮かんだのは雪夜の姿で。
もしかして雪夜の部屋、なのだろうか。
その時ふと、ベッドのすぐそばに私の鞄が置いてあることに気がついた。
目が覚めた今、もうここにいる必要はない。
雪夜が来る様子もないため、帰ることにした。
一応知らない家のため、ポーチに入ってある護衛用のナイフを折りたたんだ状態で持ち部屋を後にする。
少し動けば傷が痛んだが、すぐ慣れるだろうと思った。
部屋を出るとそこは綺麗なフローリングの廊下が続いており、一般的の家とは思えないほど広々としていた。
そのためどんどん不安が膨らみ、もしかしたらここは敵の陣地なのではないかと思ってしまうほどで。
なるべく音を立てないよう階段を目指して歩いていたその時───
「……君、見ない顔だね」
ひどく静かで冷たい声が耳に届き、思わず足を止めた。
背後に気配なんて感じなかったのに、後ろに誰かがいるのだ。
怖くなって思わずナイフを開き、意を決して振り向いたけれど───
その冷たい瞳と目があった時、全身が石のように硬直してしまった。



