優しくしないで。
どうして私を助けたんだ。
私が雪夜に何をしようとしたかわかっているのだろうか。
殺せなかったとしても、私は彼の命を奪おうとしたのだ。
そんな私をどうして助けた。
どうしてこんなにも優しく抱きしめてくれるの。
「……遅くなって悪かった。
すぐ迎えくるから手当てするぞ」
「……別に、いい」
「ダメだ。今のお前、ひどい姿だぞ」
終いには私の頭を撫でてきて、行動にも言動にも彼の優しさが詰まっていた。
その優しさが温かいけれど、同時に苦しくなる。
こんな優しさを向けられるのは久しぶりで、素直に戸惑う自分がいて。
受け入れたいとも思ってしまった。
「なんで、私なんか…」
「俺が守りたいと勝手に思っただけだから」
変な人。
命を狙ってくる相手を守りたいだなんて。
死にたいのだろうかと思ってしまう。
けれど今はただ、雪夜の優しさに甘えていて───
気づけば彼の腕の中で私は意識を手放していた。



