だんだんと遠のく意識の中、男がシャツを捲り上げてきたかと思うと───
「……っ、御園!」
少し離れたところで誰かが私を呼んだ。
その相手が誰かだなんて、考える余裕もなく。
ただ痛みに、寒さに堪えていたら。
私の体を押し付ける男が突然私から離れた。
正確には───
誰かが私から引き剥がしたのだ。
足に力が入らない私は、ずるずると電柱を伝いながらその場にへたり込み。
制服を着直す力もなく、ただただ視界に映る人物を目で追っていた。
「……ど、して…」
視界に映ったのは銀髪の男。
私の知る中で銀髪男はひとりしか知らない。
雪夜涼雅だ。
彼は男の胸ぐらを掴み、何やら話していたかと思うと。
男は腰が抜けた様子で尻餅をつき、それから血相を変えてあっという間にその場から去っていった。
「御園、お前だから話聞けって言ったのに」
男が去るなりすぐ雪夜は私の目の前に来て屈んだ。
「……な、に」
「ほら、もう大丈夫だから」
雪夜は自分の着ていたブレザーを私の肩にかけたかと思うと、ぎゅっと抱きしめてきた。
彼が着ていたブレザーは温かくて、彼の腕の中も温かくて。
もう大丈夫なのだと安心した私は自然と涙が頬を伝っていた。



