「げほっ、げほ」
「俺の顔すら覚えてないんだな」
咳が止まらず涙が目に浮かぶ中、聞こえてきたのは先ほどよりもずっと低い声。
男性は私を鋭く睨みつけており、“裏の世界”の人物であることを悟った。
「まさかテメェみたいなクズ女がガキだったとはな。こんな見た目も変わって、そりゃわからなかったわけだ」
「あんた、は…?」
「まだ思い出さないのか?俺の情報だけ奪って逃げやがって」
どうやら相手は私を相当恨んでいるらしい。
その瞳には憎しみの感情が宿っていた。
きっと私が任務を行う上で利用した相手なのだろう。
「こんなガキのくせして、他の男にもああやってなびいて抱かれてきたのか?汚ねぇカラダだな」
「……っ」
そんなの言われなくてもわかってる。
私はもう“普通の人間”にすら戻れないくらい汚れてしまったのだということを。
けれど覚悟はあったため、今更傷ついたところで意味がないというのに。
「……そんな汚いガキに、騙されたアンタのほうが笑い者ね」
相手を睨み、バカにしたように笑ってやる。
その笑みにムカついたのだろう、感情のままに私の頬を殴ってきた。



