危険な愛に侵されて。





それは裏道に入ってすぐのことだった。

完全に油断していた私は、男性の少し前を歩いていて。



そこは人通りが少なく、薄暗い道のため私も滅多に通らない。

今だって私たち以外に人はおらず、私もここを通るのは久しぶりだった。



「いやー、本当に助かりました。
すいません、学生を捕まえてしまって」

「いや気にしないでください。
道とか聞かれるのに慣れているんで」


“表の私”は話しかけやすい雰囲気をしているらしく、このように道を聞かれたり話しかけられたりすることは多々あった。


「そうなんですか。
確かに“御園静音さん”には声をかけやすかったですね」

「……え」


ドクンと心臓が大きな音を立て、咄嗟に振り返った時にはもう遅かった。


男性は急所であるみぞを狙うようにして殴ってきたのだ。


「うっ……」


突然だったため、準備することができず。

膝をつきそうになると髪を引っ張られ、電柱へと体を押し付けられた。