その隙をつき、私は雪夜の横を通り教室を後にする。
「……おい、“おと”───」
何やら彼が私を呼び止めた気がするが、気にせず足を進める。
外に出ると風が強くて寒く、思わず身震いした。
誰が雪夜に騙されるか。
あんなバレバレな誘いに乗るわけがない。
だって彼は学校でも平気で体を弄んでくる人間なのだ。
それなのに堂々と誘って来た彼に半ば呆れながらも、駅までの道を歩いていたら───
「あの、すいません」
誰かに声をかけられ、後ろを振り向く。
そこにはスーツを着た20代後半の男性が立っていて、手にはスマホを持っていた。
「どうしたんですか?」
周りには私と同じように駅へと向かう生徒たちもいたため、スルーするわけにはいかず。
相手も困っているように思えたため、聞き返すことにした。
「いや、あの…恥ずかしながら、ここの土地は初めてで道を聞きたくて…」
どうやら道がわからなくて困っていたらしい。
確かにここの土地はいくつも道があり、わかりにくいかもしれない。



